航空機用のエンジンを転用したガスタービンは、船体を浮かせて推進力を生むための水を噴射する原動力になる欠かせない部品でJFに2機つける。これが既に生産中止で、新品は手に入らない。修理したり、別の中古エンジンの部品などを代用したりすることでしのいでいる。
JFの船体自体、川崎重工業が直近で新造したのは20年で、約25年ぶり。新船は当初20億~30億円程度だったが資材価格の上昇などで現在は約70億円とも言われる。
漂流したジェット船は建造から40年を超える中、民間会社だけで船の更新が難しくなっている。
22年に改正された離島振興法は高速船の新造・更新への支援を国の配慮規定として明記したが、具体的な支援を示していない。島根県交通対策課の佐川賢一課長は「今回の事故にかかわらず、離島航路を抱える県としてできることを考え、国にも求める」と話す。
具体的な国の財政支援を背景に、5都県や船舶の所有会社などが連携して更新に動かなければ、部品の使い回しだけではやがて限界が来る可能性がある。
(高見維吹)