土井地さんが愛用するセルフケアグッズ
土井地さんが愛用するセルフケアグッズ

 新型コロナが5類に移行して1年以上が経過し、私たちの日常風景も戻りました。

 さまざまなことに制約がかかり、飲食店など経済を中心に大きな爪痕を残したコロナ禍ですが、一方でこの間に残ったもの、学んだことはなんでしょうか。

 私はその一つとして、多くの人が「自分と向き合う時間」を持てたことだと思っています。外出や人との接触の自粛が呼びかけられ、必然的に家の中にいる(いなければならない)時間が増えました。私も例外なく、コロナ禍は家の中で多くの時間を過ごしていました。

 そうすると「部屋のレイアウトを変えてみようか」「瞑想(めいそう)をしてみようか」といったように、これまで、思っていてもなかなかできなかったことに挑戦する時間ができました。周囲でも人と接触をしない範囲でサウナに行ったり、ソロキャンプに行ったりという人が増えていきました。

 そこで感じたのは「マインドフルネス」「自己愛」「セルフラブ」の大事さです。自分自身に対していかにステキに、かっこよくなれるか。いたわれるか。こうしたことを意識する人が確実に増えました。

土井地さんが愛用するセルフケアグッズ

 コロナ禍で使われ方が変わった言葉があります。「わざわざ」という言葉です。それまでは、どちらかと言えばネガティブな意味で使われることが多かったですが、ポジティブな意味に逆転しました。時間をかけて「わざわざ」地方のどこかの町や場所へ行って、見たいものを見たり、食べたかったものを食べたり、といったように良いもの、価値のあるものを目がけて人が時間をかけ動くようになりました。それは東京一極集中といった長年の課題へのアンチテーゼでもあるでしょう。

 デバイスの発達とともに、コロナ禍でリモートワークが急速に浸透したことから、移動時間やその合間にどこでも仕事ができるようになりました。実際、東京のビームス本社で勤務していた社員が、コロナ禍を契機として屋久島へ移住もしました。

 「こうじゃなければ」「これが普通なんだ」と思われていたようなことを良い意味でコロナが破壊しました。時間、お金、体力など、それぞれに持っている価値観をより尊重できるようになりました。

 私自身もそうです。朝起きて「今日は一日、何々と何々があって…」と憂鬱(ゆううつ)になることもコロナ禍前は時々ありました。しかし、コロナ禍に入ってからは、朝起きて、水を飲んだり、呼吸を整えたり、軽く運動やストレッチをしていくと、徐々に自分のテンションとモチベーションが高まっていっていくことを実感できるようになりました。

土井地さんが愛用するセルフケアグッズ

 ビームスも、コロナ禍で会社として社員の何を後押しできるのか考え、日本全国どこでも仕事をして良いという風にルールを変えました。コロナ禍はつらいことも多かったですが、それを無駄にすることなく、次に生かしていきましょう。

★★★

 土井地博(どいじ・ひろし) ビームス執行役員シニアクリエイティブディレクター兼ディレクターズバンク本部長。出雲観光大使。1977年生まれ、出雲市多伎町出身。ショップスタッフを経て、20年以上BEAMSグループの宣伝PR業務を行い、新たなビジネスモデルを立ち上げる。ビームス初の合弁会社となるクリエイティブエージェンシーであるビーアットの代表取締役社長を2023年2月まで務める。こうげい社・旧白洲次郎 正子邸である「武相荘」のクリエイティブディレクターのほか、ラジオパーソナリティ、大学非常勤講師、司会業、各講演など仕事は多岐にわたる。