短歌 寺井淳選

障子紙日に晒されて破れ垂る青空のもと空き家バンクに      江 津 三浦 秀和

  【評】上句は過疎地によくある属目、と思わせて実は「空き家バンク」という自治体のネット上の物件情報の映像ということが下句でわかる。端末に空き家が並ぶ光景にはまた別の寂しさがある。

口ずさむ与謝野晶子の反戦詩テレビの映す戦場悲し        雲 南 難波紀久子

  【評】『君死にたまふことなかれ』の一節「すめらみことは、戦ひにおほみづからは 出でまさね」は、今思ってもよく言えたなと感嘆する。私どもも「悲し」などと詠嘆し...