文部科学省が実施した2024年度全国学力テスト(全国学テ)の調査で、島根の小中学生でスマートフォンを長時間利用する割合が増加していることが明らかになった。長時間ゲームをする子ども一定数おり、家庭学習の時間を削る。スマホやゲームなどの時間が短いほど正答率が高いという相関関係もあり、家庭内でのルールづくりが求められる。

 松江市内の中学2年生の女子生徒(14)は、動画を見たり友達と連絡したりするためにSNSを使う。「親に『もう寝ないと』と言われて初めて、自分が長時間スマホを見ていたことに気づく」と話す。

 24年度の調査によると、島根の中学3年(4936人)の約94%、小学6年(5310人)の約75%がスマホを所持。平日1日当たりのSNSの利用や動画視聴は中学3年で1時間以上の割合が75・7%で、同じ設問があった22年度比4・7ポイント増。4時間以上は13・7%に上った。小学6年の1時間以上の割合は49・4%で2・5ポイント増。うち4時間以上は9・3%だった。

 また平日1日当たりのゲーム時間で1時間以上の割合は中学3年が64・9%、小学6年は75・3%。ともに22年度より減少したものの4時間以上する子どもは小学6年14・8%、中学3年11・6%と22年度より増えた。松江市内の小学校に通うゲーム好きの3年生の男児(8)は「夏休みに入ってから多い日は7時間している。家でのルールはない」と話す。

 平日の1時間以上、授業以外で勉強する島根の子どもは小学生が51・7%(22年度比8・5ポイント減)、中学生は51%(同6・1ポイント減)でいずれも全国を下回っており、家庭学習にも影響が出ているとみられる。

 文科省によると、全国でスマホを平日1日当たり4時間以上と使うと答えた中学生の平均正答率は国語51・6%、数学43・3%で、全体の平均正答率(国語58・1%、数学52・5%)を下回った。使用時間が30分以下という生徒より国語で12・3ポイント、数学で18・5ポイント低かった。

 全国でゲームを平日1日当たり4時間以上する小学生の平均正答率は国語57・6%、算数52・1%で、「全くしない」という児童より国語で19・2ポイント、算数で21・9ポイント低かった。スマホやゲームの時間と学力に相関関係がみられた。

 ゲームやネット依存の予防・回復支援に取り組む民間企業「MIRA-i(ミライ)」(東京都)の公認心理師・森山沙耶所長(36)は、思春期は衝動的な行動を抑制する脳の前頭前野が成熟しておらず、使い過ぎる傾向にあると指摘。「親が使用状況を把握し、コミュニケーションを取りながらルールを作るのが効果的だ」と話した。

(小引久実)