松江第三中学校が夏休みの宿題に関して生徒に配布した文書
松江第三中学校が夏休みの宿題に関して生徒に配布した文書

 学校の夏休みが始まり、教員が宿題で生成AIを使った「コピペ」対策に頭を悩ませている。読書感想文などの課題が簡単にできるため「読解力や考える力が養われない」と学校によっては注意を呼びかける。

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 「活動を通じた学びが得られず、自分のためにもなりません」。情報科学高校は、夏休みの課題として実施する読書感想文の案内の中に「注意事項」として生成AIを使用しないよう呼びかける文言を入れた。昨年、文部科学省が出したガイドラインから引用した。

 生成AIは読書感想文のほか、英文の和訳や英訳も即座にできる。今岡達志教頭は、虚偽の情報が交ざる例があるとし「AIの回答を生徒が『真実』として受け取る懸念がある。生活の中で絶対に使ってはいけないとまでは言わないが、少なくとも学校の課題にはふさわしくない」とする。

 松江第三中学校も宿題に関する文書で生成AIについて「そのままの使用は禁止」との一文を加え、教室でも生徒に注意を促す。吉野敦博校長は「課題は生徒の実力で取り組むべきだ」とする。

 一方、多くの学校は大々的な呼びかけは行っていない。飯南高校の伊藤由実子教頭は「便利なのは事実。適切な使い方を学ぶのが大事だ」と強調する。出雲商業高校の錦織正明教頭は「急速に浸透しており、国や県のガイドラインだけではなかなか追い付かない」と話した。

 島根県教育委員会は昨年4月の文科省通知を受け、県立学校や市町村教委に通知しており、対応は各校や市町村教委に任せている。

(白築昂)