川瀬一絵さんの写真を鑑賞する来場者=出雲市平田町、平田本陣記念館
川瀬一絵さんの写真を鑑賞する来場者=出雲市平田町、平田本陣記念館

 横浜市で活動する写真家・川瀬一絵さん(42)=出雲市小津町出身=の写真展が出雲市平田町の平田本陣記念館で開かれている。古里・平田や横浜、東日本大震災で被災した福島の人々の暮らしを写した作品が並び、来場者は各地に思いを寄せながら鑑賞している。9月1日まで。

 川瀬さんは昨年春、初めて訪れた福島県飯舘村である家族と知り合い、横浜市から車で約5時間かけて通い始めた。道中、放射線量を示す表示や荒廃した住宅、汚染土を搬送するトラックを目にし「原発事故を遠い場所の出来事として生活していた自分に気づき、どきりとした」という。

 会場では、福島や生活拠点の横浜、古里の平田を往来するイメージで鑑賞できるよう、大小約80点の作品を並べて展示した。茶を蒸すせいろに写真を並べて裸電球で照らしたり、作品の前に座布団を並べたりして、くつろいで鑑賞できるよう工夫した。

 藤原雄高学芸員(42)は「何げなく見える風景も日常とつながっていたり、かけ離れていたりするものがある。作家の思いを感じながら鑑賞してほしい」と話した。開館時間は午前9時から午後5時まで。入館は同4時半まで。火曜休館。入場無料。

(佐藤一司)