南極越冬隊の経験を講演する三上学医師=島根県邑南町下田所、田所公民館
南極越冬隊の経験を講演する三上学医師=島根県邑南町下田所、田所公民館

 南極観測越冬隊の医療隊員だった公立邑智病院(島根県邑南町中野)の三上学医師(57)がこのほど、島根県邑南町下田所の田所公民館で講演した。南極での暮らしやユニークな体験を語った。

 三上医師は同町出身で、東京都内の病院に16年勤務した後、越冬隊員に応募。2022年11月から1年4カ月、医療隊員になり、24年6月から邑智病院の外科医として勤務する。

 講演では写真や動画を交えながら、南極の昭和基地内での生活を紹介した。個室は床暖房で暖かく、基地内には理髪室や運動ジム、バーといった設備があることを伝えると、会場から驚きの声が上がった。

 食事に関するエピソードでは、お菓子やカップ麺の備蓄はあるが、調理師の隊員がいつも大量に食事を作っていたという。健康診断で肥満気味の隊員が多くなり「食事を減らすように、とは言えず対応に困った」と笑いを誘った。氷山に溝を掘ってそうめん流しやペンギンの観察など南極ならではの娯楽も紹介した。

 講演会は邑南町20周年を記念して開催し、110人が聴いた。邑南町阿須那の会社役員、大西義孝さん(58)は「自分ではとても行けないような場所の話で、聞き応えがあった」と話した。

(吉野仁士)