自民党の石破茂元幹事長(67)=衆院鳥取1区、12期=が24日、地元の鳥取県八頭町の神社境内で、党総裁選への立候補を表明した。5度目の挑戦に向け、「38年間の政治生活の集大成、最後の戦いとして原点に戻り、全身全霊で支持を求めていく」と決意を語った。派閥の政治資金パーティー裏金事件を念頭に「ルールを守る政治、ルールを守る自民党を確立する」と強調し、政治改革に取り組む姿勢を前面に打ち出した。
10人超が立候補に意欲を示しており、地方票の行方が鍵を握る。党内では裏金事件による逆風で次期衆院選や来夏の参院選への危機感が強まっており、高い知名度を誇る石破氏への待望論がある一方、党内基盤が弱く、国会議員票の上積みが課題だ。
会見には支持者ら約250人が駆け付けた。石破氏は次期衆院選に関し、裏金事件への国民の審判を受ける必要があり、早期に実施すべきとの考えを示した上で、裏金関係議員に関しては「公認するにふさわしいかどうか、徹底的に議論すべきだ」と指摘した。
政治改革を巡っては「政治のために金が必要なら、集め方は節度を持たないといけない。透明性を深めるための努力を最大限する」と強調。資金の集め方や使途の透明化を図るためにさらなる法改正が必要との考えを示した。
政策については国民の所得や生産性の向上などを挙げ、「都道府県や市町村が持つ可能性を最大限に引き出すことで地方を守る」と主張。選択的夫婦別姓制度導入に前向きな姿勢を示したほか、「原発はゼロに近づけていく努力は最大限する」と述べた。
石破氏は防衛相や農相、地方創生担当相のほか、党幹事長などの要職を歴任。08、12、18、20年の総裁選に立候補したが、いずれも敗北した。
総裁選は9月12日告示-27日投開票。正式表明したのは小林鷹之前経済安保相(49)に次いで石破氏が2人目。小泉進次郎元環境相(43)、河野太郎デジタル相(61)、高市早苗経済安全保障担当相(63)らが立候補に意欲を示しており、異例の混戦模様となっている。
上川陽子外相(71)は推薦人確保に向け、「着地の姿が見えてきた」と自信をにじませた。
(岸本久瑠人)