干物の消費拡大で若者にも食べてもらおうと、水産加工の渡邊水産(出雲市浜町)が、エテカレイの薫製干物を商品化した。薫製処理を加えることで、特有の癖のある香りを和らげる。薫製装置は島根県産業技術センターが技術協力し、県内製造業の企業グループと共同開発した。
島根県はカレイ干物の生産量が全国1位。ただ山陰地方で親しまれているエテカレイの干物は癖のある香りから首都圏では敬遠され、ほとんど流通していない。若年層にも受け入れてもらえる商品として販路開拓するため、薫製による香り付けを考案した。
試作品は関東在住の雑誌編集者ら食に携わる約100人に食べてもらったところ、好評を博した。試食販売した地元でも干物に関心を寄せてもらえなかった若い世代から支持され、手応えをつかんだ。
量産化するための薫製装置は、製造業の中小企業11社でつくるグループ「Go―YEN.net しまね」と共同で開発した。県産業技術センターも協力し、コンピューター上で装置内の空気の流れや加熱状況を計算する熱流体シミュレーション技術を活用。一夜干しのみずみずしさを保つための薫製処理の時間短縮や品質の安定化を実現した。
「出雲干し・ほのかに薫る えてかれい」の商品名で、休漁明けの9月以降、本格販売し、首都圏の販路開拓に本腰を入れる。
トビウオ、アナゴ、イボダイも薫製処理で商品化しており、今後もラインアップを増やし薫製シリーズで月250万円の販売を目指す。渡邊美和子常務(67)は「ちょっとした手を加えることで興味を持ってもらえる。山陰の干物文化を残していきたい」と話した。 (久保田康之)














