菓子作りの原料となるカカオ豆が高騰する中、洋菓子店などは対策を検討している=松江市上乃木7丁目、松江クロード
菓子作りの原料となるカカオ豆が高騰する中、洋菓子店などは対策を検討している=松江市上乃木7丁目、松江クロード
カカオ豆を選別する西森亜矢店長。輸送コストの低い東南アジア産の輸入を検討している=出雲市斐川町坂田、ラ・ショコラトリ・ナナイロ
カカオ豆を選別する西森亜矢店長。輸送コストの低い東南アジア産の輸入を検討している=出雲市斐川町坂田、ラ・ショコラトリ・ナナイロ
菓子作りの原料となるカカオ豆が高騰する中、洋菓子店などは対策を検討している=松江市上乃木7丁目、松江クロード
カカオ豆を選別する西森亜矢店長。輸送コストの低い東南アジア産の輸入を検討している=出雲市斐川町坂田、ラ・ショコラトリ・ナナイロ

 チョコレートやココアの原料で、菓子作りに欠かせないカカオ豆の価格が高騰し、地元の菓子製造業者にも影響が及んでいる。異常気象などでアフリカの原産国の収穫量が減ったのが要因。クリスマスに向けてさらなる値上がりが予想され、盛期にチョコレートケーキなどを提供できない店が出る可能性もある。一部の事業者は輸送費が低いアジア産カカオ豆への切り替えを検討するなど対策を急ぐ。

 世界のカカオ生産量の約7割を占めるアフリカのガーナで昨年来、大雨や病害などで収穫量が急減。国際価格の指標となるロンドン市場の先物価格(8月24日時点)は1トン当たり6280ポンドと、前年の約2倍に急騰する。現地では苗木栽培などの対策が進むものの、収穫可能になるには5、6年かかり、影響が長引く恐れがある。

 洋菓子店の松江クロード(松江市上乃木7丁目)はチョコレートの仕入れ値が前年比1・5倍に上昇。今後も値上がりが予想され、ケーキや焼き菓子用のチョコレート原料(1・5キロ)は今夏の4千円が、秋ごろには6千円台に上がる可能性があるという。

 年末以降、クリスマスやバレンタインで需要は急増する。同店はサイズを小さくして価格を据え置いたり、購入制限を設ける対応を検討する。佐川達也執行役員製造部長は「世界中が少ないカカオを奪い合っている。チョコレートケーキは人気で、客の出費を抑えつつ提供する方法を考えたい」とした。

 チョコレート関連商品製造の「沖野上ブルーカカオ」(出雲市大社町杵築南)は、アフリカや中南米のカカオを使った板チョコレートを販売。7月から、強い甘みが特徴のアフリカのトーゴ産のカカオ価格(1キロ)が前年比2倍の3200円になったという。

カカオ豆を選別する西森亜矢店長。輸送コストの低い東南アジア産の輸入を検討している=出雲市斐川町坂田、ラ・ショコラトリ・ナナイロ


 アフリカ産の急騰を受け、チョコレート店「ラ・ショコラトリ・ナナイロ」(出雲市斐川町坂田)は取り扱いが少ない東南アジア産の輸入を検討する。

 インドネシアやタイ、ベトナム産の輸送コストはアフリカ産と比べ、3分の1程度に抑えられる。ただ湿度が高い環境で育ち、風味で劣る課題がある。同店はタイの農家の協力を得て、風味がよくなる加工法の開発に取り組む。西森亜矢店長は「東南アジア産を使えるように、現地の農家と連携を深めたい」と強調した。

(井上雅子)