「よもぎ若草」を商品化した彩雲堂の山口周平社長(左から3人目)やヨモギ生産者ら=松江市天神町、同社本店
「よもぎ若草」を商品化した彩雲堂の山口周平社長(左から3人目)やヨモギ生産者ら=松江市天神町、同社本店
松江市島根町産のヨモギを使い、深い緑色が特徴の「よもぎ若草」(手前右)と、これまでの「若草」(同左)
松江市島根町産のヨモギを使い、深い緑色が特徴の「よもぎ若草」(手前右)と、これまでの「若草」(同左)
「よもぎ若草」を商品化した彩雲堂の山口周平社長(左から3人目)やヨモギ生産者ら=松江市天神町、同社本店
松江市島根町産のヨモギを使い、深い緑色が特徴の「よもぎ若草」(手前右)と、これまでの「若草」(同左)

 老舗和菓子店の彩雲堂(松江市天神町)が、島根県産業技術センターなど地元産官と連携し、松江松平藩7代藩主・松平治郷(はるさと)(号・不昧(ふまい))の時代に食されていた「よもぎ若草」の商品化を3年がかりで実現した。松江を代表する銘菓の一つを地元産原料にこだわった新機軸で磨き上げた。9月1日に発売する。

 松江市島根町産のヨモギを生かし、爽やかな香りと自然な甘み、濃い緑色が三位一体で楽しめる。求肥(ぎゅうひ)には島根県奥出雲町産のブランド米「仁多米」を使った。山口周平社長は「生産者の顔が見える若草ができた。自信を持ってお薦めしたい」と話した。

 「若草」は、不昧公の茶会で出され、彩雲堂の初代・山口善右衛門さんが明治中期に復刻。若草色に着色した寒梅粉を求肥にまぶしていたが、「島根民芸録 出雲新風土記」(太田直行著)によると、不昧の時代にはヨモギが使われていた。過去に海外産を使って開発したこともあったが、地元産への思いが消えず、再挑戦した。

 最も苦労したのは、ヨモギの風味と色、香りをいかに生かすか。県産業技術センターが研究を重ね、最適な乾燥温度や粉砕するサイズを導き出した。データを基に、茶製造販売の桃翠園(出雲市斐川町上直江)が鮮やかさを保ったままの粉砕加工を実現した。

 価格は3個入りで756円。直営店やオンラインショップなどで販売する。

 若草は彩雲堂の主力商品で、売り上げの3割を占める。山口社長は「主原料がほぼ地元産の若草という創業150年にふさわしい商品ができた。松江の茶の湯文化を全国、世界に発信していきたい」と話した。(今井菜月)