被爆ピアノを演奏する浜田真理子さん=米子市末広町、市文化ホール
被爆ピアノを演奏する浜田真理子さん=米子市末広町、市文化ホール

 【米子】79年前、広島市に投下された原爆で被害を受けた「被爆ピアノ」の演奏会が1日、米子市末広町の市文化ホールであった。松江市在住のシンガーソングライター・浜田真理子さんが平和への願いを込めた優しい音色を響かせ、約400人が聞き入った。

 被爆2世で矢川ピアノ工房(広島市)の矢川光則取締役が、広島、長崎の爆心地から3キロ以内で爆風や熱線被害に遭ったピアノを修理し、全国で開かれるコンサートに提供している。

 使われたのは広島市の爆心地から2・6キロで被爆したアップライトピアノで、当時17歳だった持ち主から譲り受けた。一部を除き、当時のピアノ線をそのまま使用しているという。

 浜田さんは「一本の鉛筆」(美空ひばり)や「教訓I」(加川良)など反戦歌を披露した。松江市東出雲町出雲郷の会社員山崎俊さん(59)は「すごくいい音色だった。原爆や戦争を改めて考えてみようと思った」と感嘆した。

 演奏会は鳥取県生活協同組合連合会などでつくる実行委員会が主催。会場では世界で起きている戦争のパネル展示や被爆者の話を基に高校生が描いた絵画の展示もあった。(中村和磨)