短歌 宮里勝子選

初とれのサヤエンドウの緑色輪島の椀の赤きわだたす       安 来 鐘築 京子

  【評】輪島塗の朱色に莢豌豆(さやえんどう)の優しい緑色が目に浮かぶ。初めて収穫した喜びと輪島の震災からの立ち直りを願う作者の思いがにじむ。定型にきっちりと納められ、流れも良い。

金網を巡らす畑に働けば捕らわれ人の心地ぞをかし        雲 南 難波紀久子

  【評】猪や猿などの獣害から守るため、畑に柵を巡らし、その中で作業している自分を捕らわれ人のようだと。立場が逆転しているおか...