今夏、新曲「駄叉(ださ)」と「Nukui(ぬくい)」を配信リリースした、鳥取県出身のシンガー・ソングライターjo0ji(ジョージ)さんによる楽曲解説。

jo0jiさん
 駄叉 
「駄叉」のジャケット

 付き合ってた彼から酷(ひど)い振られ方をした地元の女友達がこの曲の主人公。自分から振ったくせに連絡をとってくる男のせいで、いつまでたっても関係が終わらない。

 周りの友達が「そんな男忘れて、他にもっといい人いるよ」と、どんなに言おうとも彼女は断ち切れない様子だった。

 そしてある日、何かの拍子で男から連絡が来なくなり、ようやくその関係が終わった。最初の方は彼女も寂しそうだったが、どうしようもないので友達と遊んだりして気を紛らしているうちに、気にも留めなくなった。

 そんなある日、半年以上ぶりに男から連絡が来た。迷ったが、会ってみることにした。久しぶりに会った男には以前の輝きがなかったようで、その日はさっさと帰ってそれっきり会っていない。この半年で魔法が解けたらしい。

 「まじでなにもときめかない人がそこに居た。」「執着していた自分がださすぎる。」「恥ず。」なんてことまで彼女は言う。それを聞いて、なんかかっけぇなこいつ。と俺は思った。

 どこまで本気か分からない。多少の強がりもあるとは思う。でも本人からすると惨憺(さんさん)たる過去でどうしようもない黒歴史みたいなものを笑い話として語れる彼女の強さを感じた。

 生活していると否が応でも色んな経験をすることになる。ふと振り返った時、ネガティブな事すら、それもまた一興と笑い飛ばせたなら素敵(すてき)だなぁと思う。

 そんな時の起爆剤にこの曲を使ってもらえたら嬉しい。
 

 

 Nukui 
「Nukui」のジャケット

 最近、東京に行くことが増えた。だけどなかなか馴れない。都会が苦手なようだ。そんな調子なのですぐホームシックになってしまい、すると夢に地元の家族や友達が出てきたりする。

 夢に出てくる奴らはいつもの如く、自分の話しかせずに人の話は聞かない。でも、不思議とその感じがすごく心地よくて、目が覚めると少しだけ気持ちが楽になる。

 そこで思いついた。その夢を再現するような曲を作れば、ホームシックになった時、聴いて気持ちを落ち着かせられるのではないかと。

 言わば、ホームシックに効く曲。これは自分のための曲なので、だいぶ個人的な内容にした。例えば、サビに「言って聞かせて」という歌詞がある。これはおばぁの口癖だ。叱(しか)るときも、褒(ほ)める時も、「だけん、いっつも言って聞かせとるだろうがい。」と言うあれだ。

 あと、曲中の至る所に地元の友達の声を沢山(たくさん)入れた。ふざけた返事をするあいつの「いん!」とか不意に奇声をあげるあいつの声とかゲラで笑い袋くらい笑うあいつの笑い声とかとにかく挟めるだけ挟んだ。正直、自分以外の人のホームシックにこの曲が効くかはわからない。

 だけどなんとなく、聴けば少しだけ気持ちが温もる気がしている。


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