塩冶氏と古志氏の山城について講演する高屋茂男所長=出雲市大津町、出雲弥生の森博物館
塩冶氏と古志氏の山城について講演する高屋茂男所長=出雲市大津町、出雲弥生の森博物館

 【出雲】出雲市大津町、出雲弥生の森博物館でこのほど、島根県立八雲立つ風土記の丘(松江市大庭町)の高屋茂男所長が「古志氏・塩冶氏の山城」をテーマに講演した。戦国時代の出雲西部で勢力を持った塩冶、古志両氏が交易で栄えたため、山城の発展が抑制的だったとの仮説を示した。

 出雲地域には城が1200件以上あるとされる。両氏に関係がある城は向山城(出雲市上塩冶町)や栗栖城(出雲市古志町)などという。高屋所長は月山富田城(安来市)や金山要害山城(松江市)などと比較し、両氏の城は標高が低く、小規模だと説明した。

 両氏が勢力を持った地域では陶磁器が見つかり、交易で栄えていたと考えられていることや、低地に多くの館跡が分布していることなどから「交易や水運などに便利な所を拠点としていた」と指摘した。

 また、尼子氏の有力家臣の城が小規模だったことを参考に「交易によって勢力を高めたため、山城の発展が抑制された可能性がある」との仮説を提示した。

 出雲市灘分町の会社員、福間広之さん(74)は、「塩冶氏の城が小規模なのが不思議だったので、講演の内容は興味深かった」と話した。

 講演会は出雲弥生の森博物館で開催されていた企画展に合わせ開き、約80人が聴いた。(片山皓平)