展示会の準備をする島根大さん(左)と中鉢耕助さん=出雲市斐川町出西
展示会の準備をする島根大さん(左)と中鉢耕助さん=出雲市斐川町出西

 出西窯のベテラン陶工2人の作品を集めた「出西窯同人二人展」が20日、出雲市斐川町出西、出西窯で始まる。先輩から受け継いできた作品や地元産の釉薬(ゆうやく)にこだわった新作など実用性と美しさを兼ね備えた約40種が並ぶ。入場無料、23日まで。

 2人は陶工歴25年の島根大さん(49)と同19年の中鉢耕助さん(45)。出西窯では陶工や窯元が表に出ない「協同無名」の理念を掲げているが、熟練の技術を持つ陶工に限り、制作意欲の向上や新たな挑戦を後押しするため、作品展を開いている。

 島根さんは粘土を工夫し、じか火で料理ができる土鍋や片手土鍋などを用意。釉薬の原料を地元産にこだわり、わらやモミを入れ、薄い緑色に焼き上げた皿、シジミの殻や来待石を使った作品も目を引く。

 子育て中の中鉢さんは子どもや高齢者、障害者の使いやすさを考えて制作したカップや皿を展示。カップは安定させるために取っ手を両方につけたり、取っ手の形を指に引っかかりやすくしたりしている。皿の縁を出っ張らせ、スプーンですくいやすく工夫した。

 島根さんは「器に地域性を感じてもらえるとうれしい」とし、中鉢さんは「器を見ながら、当事者の方から、いろんな意見をもらいたい」と話した。

(佐野卓矢)