「光陰矢のごとし」という。月日のたつのが早いことを示す表現だが、立憲民主党の代表選を見ていて、そんなことわざが頭に浮かんだ。
“主役”は5カ月前、松江市内のスーパー前でマイクを握っていた。「解明しない。納税しない。処分しない。説明責任を果たさない。反省しない政党に処分を下す投票をしよう」。自民党の裏金事件を厳しく批判したのは立民の野田佳彦元首相。衆院島根1区補選で立民候補を応援するため松江入りした。
その場には、知名度の高い蓮舫参院議員(当時)も応援に駆け付けていた。立民は島根1区を含め、同じ日にあった3補選で全勝。その余勢を駆って蓮舫氏は7月の東京都知事選に挑んだが、まさかの3位に終わった。「栄枯盛衰」「一寸先は闇」である。
この言葉の重みが身に染みているのは、民主党政権の首相時代、自民に政権交代を許した野田氏自身だろう。立民の新代表に就き「汚れた政治の膿(うみ)を出し尽くさなければいけない。政権交代こそが最大の政治改革だ」と意気込む。
野田氏が松江で応援演説した同じ日、自民党の小泉進次郎元環境相も自民候補の応援のため松江でマイクを握っていた。小泉氏も立候補する自民党総裁選の投開票は27日。2人が党首討論で相まみえることになるのか。光陰矢のごとしだが、誰が総裁になろうと、応援演説であまり語られなかった地方創生にもっと目を向けてほしい。(健)