急増するSNS型投資・ロマンス詐欺への注意を呼びかける島根県警作成のチラシ
急増するSNS型投資・ロマンス詐欺への注意を呼びかける島根県警作成のチラシ

 運動不足解消のため、夕食の後に1時間ほどウオーキングをしている。先日、JR出雲市駅の南口付近を歩いていると、20歳前後くらいの男性に声をかけられた▼「すみません、お金がなくなって、帰りの電車賃のために100円でもいいので、どうにかなりませんか」。あいにく手持ちがなく、それを伝えると「そうですか。ありがとうございました。気を付けてお帰りください」と丁寧に見送られた▼さて、これをどう捉えよう。財布を出した途端にひったくられる可能性もある。男性は2人組で、1人は後方のベンチで待っていた。「気を付けて」という優しい言葉は伏線で、後をつけられて家を特定され、襲われる危険性も考えられる。若者を中心に、現金を使わないスマートフォン決済を利用する人が増える中、現金を要求するのもふに落ちない▼悲しいかな、ここまで疑心暗鬼になっても仕方ないご時世だ。交流サイト(SNS)などを通じて恋愛感情や親切心を抱かせて金をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害が後を絶たない。だまされるのは孤独な中高年が多く、優しい言葉にほだされるという▼かの若者、悪意はなくとも「100円でも」と言いながら、同情を誘ってお札をもらう下心はあったかもしれない。困った時はお互いさまで助け合う社会は望むところだが、こちらはだまされやすいとされる中高年。万事用心するに越したことはない。(衣)