外国人観光客向けに日本文化を学ぶワークショップが4日、浜田と益田の両市であった。参加者11人が石州和紙の工房や奉納神楽を見学し、伝統文化への関心を高めた。
島根県芸術文化センター・グラントワが2025年に開館20周年を迎え、外国人観光客の来場者増につなげようと企画した。県内や東京都在住でフランスやオーストラリアなどの国籍の外国人ら11人が参加した。
浜田市三隅町古市場の西田和紙工房を訪れ、40年以上、石州和紙の制作に携わる西田誠吉代表(69)の話を聞いた。原料のコウゾ栽培から和紙完成まで一貫して地元で行い、コウゾは表皮と白皮の間にある甘皮を残すことで紙質が強靱(きょうじん)になると説明を受けた。
近年ではヨーロッパのデザイナーや芸術家が石州和紙に注目し研究しており、参加者は興味深そうに現場の写真を撮っていた。
ジャーナリストのフローラン・ダバディさん(49)=東京都在住=は「長い和紙の歴史には、多くの人たちのつながりがあることが分かった」と話した。参加者はその後、近くの石州和紙会館で紙すきを体験し、益田市水分町の水分神社で神楽を鑑賞した。(宮廻裕樹)