「恋愛は人世の秘鑰(ひやく)なり」。詩人で評論家北村透谷が1892(明治25)年に発表した「厭世(えんせい)詩家と女性」の冒頭。「秘鑰」は秘密を解く鍵のこと。この言葉が当時の青年たちに与えた影響は強烈だった。木下尚江は「この一句はまさに大砲をぶちこまれた...