東京五輪開会式で大会名誉総裁の天皇陛下が述べられる見通しの開会宣言について、政府と大会組織委員会が新型コロナウイルス禍を踏まえ、開催を祝う趣旨の文言を盛り込まない方向で調整を進めていることが20日、政府関係者への取材で分かった。
1964年の東京五輪では昭和天皇が「祝い」という文言を使った。今回は感染状況が急速に悪化する中、開催を巡り賛否が割れており、国民統合の象徴である陛下の宣言にも配慮が必要として、異例の判断を迫られたとみられる。
開催条件などを成文化した五輪憲章は、開会宣言は国家元首が読み上げると規定。読み上げる例文も明示している。64年の東京大会では、名誉総裁の昭和天皇が日本語で開会を宣言。「第18回近代オリンピアードを祝い、ここにオリンピック東京大会の開会を宣言します」と述べた。
憲章に従えば、今回も同様の表現になることが見込まれていたが、政府や大会組織委で協議。感染状況が悪化する中、祝祭感がある表現を極力抑える方向で調整を進めている。憲章では、式典の内容や詳細は、国際オリンピック委員会(IOC)の事前承認を得なければならないともされている。
英文の憲章では、宣言の一部に「celebrating」が使われ、これまでの和訳では「祝い」と表現されている。今回の宣言では、英文から逸脱しない形での表現を探っている。
近年の海外の五輪では、2008年北京大会は胡錦濤国家主席(当時)、12年ロンドン大会ではエリザベス女王が開会宣言した。











