鳥の殺処分に向けた作業をする職員=大田市内(島根県提供、画像の一部を加工しています)
鳥の殺処分に向けた作業をする職員=大田市内(島根県提供、画像の一部を加工しています)

 鳥インフルエンザの感染が確認された大田市の養鶏業者は、1日当たり約25万個の卵を出荷していた。同業者から卵を仕入れていた島根県内の卸売業者や小売店は31日、代替する仕入れルートの確保に追われた。

 「早期に出荷再開できるように頑張りたいが…」。大田市の養鶏業者の経営者は焦燥感を漂わせ語った。

 40万羽の鶏を飼い、島根県内を中心に多くの取引先に供給してきた。対応はこれからとしつつ、「協力会社があり、そこから融通してもらうようにはしたい」と言葉少なに語った。

 「なんとか明日、あさっての分は確保できた」。卸売業の出雲大同青果(出雲市高松町)の幹部が語った。地元の青果店や洋菓子店に卸す卵の7割を大田市の業者から仕入れてきた。一報を受け、県内の別の業者との交渉に動き、数日分を確保。ただ幹部は「当面は同業者らと取り合いになるかもしれない」と話した。

 スーパーのグッディー大田店(大田市大田町)は、店頭で販売する7割を大田市の養鶏業者に頼る。従来と同じ量を供給するため、担当者は別の仕入れ先の開拓を急いだ。「今後、特売セールなどに影響が出る可能性がある」という。

 洋菓子店の松江クロード(松江市上乃木7丁目)は県東部の養鶏業者から卵をを仕入れる。クリスマスなど需要が増える年末に向け、県西部のスーパーなどが東部での調達を増やす可能性もあり、佐川達也製造部長は「今まで通りの仕入れはできなくなるかもしれない」と案じた。

 鶏卵の全国流通に詳しい市場関係者によると、40万羽の鶏を飼う大田市の業者の出荷がなくなり、地域によって一時的に需給バランスが崩れる可能性があるものの、近隣県を含めて卵が供給されるようになり、需給が安定していくと見通した。