11月3日は文化の日。10年の年を重ねた学聞(まなぶん)のように、音を重ねることで厚(あつ)みが出る音楽について、深く知ってみよう。今回は合唱(がっしょう)コンクールの全国大会に出場した出雲(いずも)市の斐川西(ひかわにし)中学校合唱部と、さんびる文化センタープラバホール(松江(まつえ)市西津田(にしつだ)6丁目)にあるパイプオルガンを紹介(しょうかい)するよ。
出雲・斐川西中に聞いた合唱のおもしろさ/仲間と生み出すハーモニー
10月の全日本合唱コンクール全国大会に出場した、斐川西中学校(出雲市斐川町直江(なおえ))の合唱部を訪ねました。
「みんな、ちょっと笑ってみて!」。コンクール直前の練習で、顧問(こもん)の浜崎(はまさき)香子(きょうこ)先生(63)が声をかけました。部員たちは「あはははは!」と笑ってみせます。浜崎先生は「笑ったり泣いたりすると、お腹(なか)や、腰(こし)にも力が入るよね。歌うときも同じです」。感情豊(かんじょうゆた)かに歌声を響(ひび)かせるための体の使い方なのだそうです。
合唱は女声がソプラノ、アルト、男声がテノール、バスの大きく分けて4パート、細かく8パートに分けられます。それぞれのパートが役割(やくわり)を持ち、音の上がり下がりや音量の大小で曲を表現(ひょうげん)します。
一番低いバスの福代(ふくしろ)蒼士(あおし)さん(14)は「自分の声の音と仲間の音が合わさってきれいな曲になるのがとにかく楽しい」と話します。
ソプラノの後藤彩文(ごとうさや)さん(14)は「ハーモニーがつくられると場の空気が変わり、温かくなる。合唱は1人ではできないから、部員はただの友達じゃなく、家族に近い特別な存在(そんざい)」と、合唱を通して培(つちか)った仲間との絆(きずな)にも魅力(みりょく)を感じていました。
浜崎先生は「きれいなハーモニーは、仲間がいるから生まれる特別なもの。楽器がなくても、自分と仲間の声さえあれば、気持ちを表現できる」と強調。「まだ合唱をしたことがないみなさんにも、この素晴(すば)らしさを味わってほしい」と呼(よ)びかけています。 (増田枝里子(ますだえりこ))
松江・プラバホールにあるパイプオルガンって?/多彩な音色をもつ「楽器の王様」
松江市西津田6丁目のさんびる文化センタープラバホールのパイプオルガンが分解修理(ぶんかいしゅうり)され今春、再(ふたた)びお目見えしました。パイプオルガンはピアノと並び「楽器の王様」と呼(よ)ばれています。2千年以上前からある長い歴史(れきし)に加え、巨大(きょだい)さが王の名にぴったりです。
744席あるホールに入ると、ステージ中央奥(おく)にパイプオルガンがどっしりと構(かま)え、おごそかな姿(すがた)に目を奪(うば)われます。高さ9.4メートル、幅(はば)8.04メートルあります。きらきら光るパイプは華(はな)やかで2583本あるそうです。
パイプに風を送ると共鳴し、音が響(ひび)きます。一番長いパイプは約6メートルあり低い音がします。一番短いパイプは1センチで、ピアノの最高音より高い音がします。
演奏(えんそう)はけん盤(ばん)を押(お)して行います。白黒は逆ですがピアノに似(に)たけん盤が3段あり、足元にもペダルけん盤があります。出したい音階のけん盤を押すと、目当ての音を出すパイプに風が送られメロディーを奏(かな)でます。
パイプの材質(ざいしつ)や形などで音が異(こと)なり、さまざまな音色を出せます。オルガンのような感じの音もありますが、トランペット風だったり、フルート風だったり。温かく柔(やわ)らかな音、明るく華やかな音など多彩(たさい)です。
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10月26日はプラバホールで演奏や見学会があり、プラバでオルガンを習った人たちが出演しました。松江南高校1年の西坂(にしざか)葵(あおい)さん(16)もその1人。小学1年からピアノを習い、パイプオルガンにも興味(きょうみ)を持ちました。小学4、5年の時に月に3回、プラバホールでレッスンを受けました。
ピアノとはけん盤を押す時の感触(かんしょく)が違(ちが)うことや、いろいろな音を組(く)み合わせられるのがパイプオルガンの魅力(みりょく)だそうです。この日は「パイプオルガンのゆったりしたイメージではない曲を」ということで、「フェスティヴ・トランペット・チューン」を選曲。はつらつと明るく演奏しました。 (板垣敏郎(いたがきとしろう))