東京・六本木の国立新美術館に近づいてゆくと、館外の庭に、大きな金魚が鎮座している。夜になると光り、やたらと立体的なおちょぼぐちの金魚はうっすら笑っている。同館で開催されていた「田名網敬一 記憶の冒険」展に、この夏何度も通った。

 今年88歳で亡くなった画家のはじめての大規模な展覧会で、20代のデザイナーとしての仕事から亡くなる直前のものまで描き続けていた...