島々の向こうに大陸へと続く大海原が開く。視線を下げると、木々に覆われた北向きの急斜面が海に落ちている。緑濃い断崖。民家が張り付くように点在し、息をのむような光景が広がる。

 長崎県・五島列島の中通島北部、新上五島町曽根郷の大水地区。15世帯26人が住む。ひときわ高い場所には代々の先祖が眠る墓地が。数段の素朴な石組みで、集落を見守っているように見える。

 海に向かって立つ墓石の上部には十字架。ほぼ全てに「大水」と彫られている。赤茶けた地面の上に、丸石が長方形に敷き詰...