介護業界の人手不足が深刻化する中、山陰両県の介護関連施設が情報通信技術(ICT)を生かした見守りセンサーやロボットを導入し、職員の夜勤の負担軽減やけが防止を図っている。2025年には団塊世代全員が後期高齢者となるなどし、さらなる不足が懸念され、各施設がICTによる業務の効率化、省力化を急ぐ。   

 「職場環境が大きく変わった」。仁摩福祉会(大田市仁摩町仁万)が運営する特別養護老人ホーム「しおさい」(同)の野際智紀施設課長が語る。

 約3900平方メートルの平屋施設に計50床あり、夜勤時は職員2人がそれぞれ最大30人の入所者を世話する。ナースコールが鳴るたびに施設内を頻繁に往来し、大きな負担感があった。

 このため約600万円をかけ、各室のベッドの下部に利用者の寝起きなどを感知するセンサー「眠りスキャン」を設置。職員が待機する部屋のモニターに、センサーが感知した入所者の動静を表示し、タブレットでも確認できる。過去のデータからナースコールやトイレの移動が増える時間帯などを分析でき、職員配置を効率化できる。

 厚生労働省の報告書(2021年)によると、入所者の状況を把握する見守りセンサーを導入すると業務時間が2割超減る効果があった。プライバシー保護のため、各施設が家族らの許可を得ながら、センサーやカメラの活用を進める。

 しおさいは、利用者がベッドや車いすから動く際の補助ロボット「Hug(ハグ)」も導入。入所者の上半身をロボットの持ち手に預けることで体位を動かせるため、職員は...