東京五輪スケートボード男女ストリートで日本人選手2人が金メダルを獲得し、山陰両県でも注目が高まる。ただ、両県にスケボーの施設は少なく、公道や広場で楽しむ人もいて交通の支障や騒音の元になり、マイナスイメージを持たれがちなのも実情。関係者は裾野の広がりを期待する一方、愛好者のマナー向上と施設増設を訴える。 (古瀬弘治)
スケートボードを扱う「EVOL」(出雲市渡橋町)で27日、スケボーを買った松江市玉湯町湯町の接客業、塙美慧さん(25)は五輪を見て背中を押されたという。「日本人の活躍がかっこよかった」と心を躍らせる。
スケボーは新型コロナウイルス禍で一時店頭からボードがなくなるほど愛好者が急増した。五輪での日本勢の活躍も相まって山陰両県の愛好者団体はさらなる人気の高まりを期待する。
EVOL店主で出雲スケートボード協会の北村友和事務局長(45)は「スケボー界にとっていいニュースだ」と喜ぶ。
課題は、専用施設が限られる中、マナーを守って遊んでもらえるかどうかだ。
鳥取市スケートボード利用者協議会の岡崎光紀代表(40)は注目を歓迎する半面、「競技を楽しむ場所は少なく、マナーを守れない人も出るのではないか」と不安を口にする。
北村事務局長や岡崎代表によると、両県で主なスケートボード場は、金メダリスト西矢椛(もみじ)選手も訪れたという出雲健康公園内スケートボード場(出雲市)、東郷湖羽合臨海公園はわいスケートパーク(鳥取県湯梨浜町)など8カ所ほどと、少ない。
公道や広場でスケボーをして周囲に迷惑を掛ける例もある。松江市内では3月に漫画をモチーフにしたオブジェがスケボーで傷つけられる事件や岸公園でスケボーをする人への苦情があり「スケートボードの使用はご遠慮ください」という看板が設置された。
島根県警によると、道交法は交通の頻繁な道路でのスケボーを禁止行為に挙げており、県警交通部の金築洋一調査官は「事故やけがにつながる恐れもある。決められた場所で遊んでほしい」と呼び掛ける。
鳥取市内でもJR鳥取駅前風紋広場でスケボーを楽しむ人がおり、岡崎代表にも苦情が舞い込む。「マナーを守らない一部の人でスケボーの印象が悪くなっている」と話す。30年以上のスケボー歴がある北村事務局長は「欧米ほど受け入れられていないが、親子連れでパークで楽しむ競技に変わってきた」と考察。2人とも施設の増設を求める。
コロナ禍や五輪で高まったスケボー熱が一過性に終わるか、人気定着につながるかは愛好者のマナーや施設整備が鍵を握りそうだ。












