島根半島の西端に位置する出雲市大社町日御碕地区は、石造りの灯台として日本一の高さ約44メートルを誇る出雲日御碕灯台や、日本遺産「日が沈む聖地出雲」を代表する国の重要文化財・日御碕神社など見どころがたくさんあり、多くの観光客を魅了しています。

 
 
 

朱塗りの社殿が海に映える日御碕神社。境内を囲む回廊に、太陽の光が差しこむと幻想的な雰囲気に。

しかし、2024年7月の大雨によるがけ崩れにより、地区を結ぶ県道が寸断され、車両の通行ができなくなり、住民生活だけでなく、夏のかき入れ時の観光面でも大打撃を受けました。

現在は仮設道路が開通し、客足が戻りつつあります。観光支援に向け、島根県は24年11月~25年3月に観光応援キャンペーンを実施。民宿など宿泊施設は1泊当たり3千円を割り引き、飲食・土産物店などで使えるクーポンは1500円分を千円で販売して、賑わい復活の支援をしています。

災害を乗り越えて日御碕の魅力発信

渡邊一枝さん  Kazue Watanabe
一般社団法人出雲観光協会 日御碕ビジターセンター 島根半島・宍道湖中海ジオパーク 出雲国ジオガイドの会 会長・認定ジオガイド

出雲日御碕灯台近くにある観光案内所・日御碕ビジターセンターは、日御碕地区の特徴や観光コースを紹介するパンフレットを並べ、島根半島・宍道湖中海ジオパークのPR展示や体験プログラムを受け付けるツアーデスクの機能を取り揃えています。観光客を温かく迎え、魅力を発信するのは渡邊一枝さんです。

「日御碕といえば灯台と雄大な日本海をイメージされますが、それだけではありません。ジオパークに指定されている地質構造の起源は、およそ1600万年前にさかのぼります。日本遺産にも指定された夕日の美しい地域で、日御碕神社にはスサノオを祀る神の宮とアマテラスを祭神とする日沉宮(ひしずみのみや)があります」

新型コロナウイルス禍を経て、活気が戻りつつあった中での豪雨被害は、大きな爪痕を残しました。ただ、道路復旧や島根県の観光応援キャンペーンを後押しに、住民らは前を向いて歩き始めています。

「不安が募りましたが、市や県の対応が早く、地域の人たちが想いを一つに乗り越えました。クーポンは好評で、美味しい海鮮丼やオリジナル貝細工商品、海産物を購入していただいています。海釣りの渡船でも使えるため、利用が伸び、クーポン効果で出雲日御碕灯台も例年以上の参観者が訪れていると聞いています」

 

日本海の荒波が育んだ新鮮な魚介類は磯の香りと旨みが口いっぱいに広がり、贅沢で豊かな味わいです。

観光応援キャンペーンは3月31日まで。冬場の日御碕の見どころを聞いてみました。

「今からの季節は、冬の日本海の荒々しさが見どころ。『ご縁ぶり』や『のどぐろ』がおいしい時期でもあるので、新年会などで満喫してほしいですね。経島に1月ごろからウミネコが集まりだし、2、3月から巣作りを始めます。約3千羽が飛び交うので、ぜひ見に来ていただけるとうれしいです」

 

日本海に浮かぶ小さな経島。波しぶきと共に舞い上がる鳥たちの群れはまるで生きる絵画のよう。

●出雲日御碕“観光応援”キャンペーン

出雲市日御碕地区にある指定の宿泊施設にお得に泊まれるキャンペーンはこちら