国立公園・三瓶山東の原(大田市三瓶町志学)の観光リフトについて、所有する大田市が8月1日からの運休を正式に決めた。休止に伴い、東の原展望台である人気イベント「天空の朝ごはん」は予定が白紙になり、運休前最後となった29日は満員の50人が市内外から参加。絶景と食事を楽しみつつ早期再開を望んだ。
山麓の国民宿舎さんべ荘が運営を担い、早朝にリフトで登り、日の出を見ながら朝食を取る人気の企画。市内の洋食店やドイツパン専門店が朝食メニューを提供する形で2016年に始め、月1~2度の頻度で続いてきた。
運休方針が明らかになり、50回目に当たる29日は申し込みが殺到。通常の参加は30人程度だが、予約が埋まり、キャンセル待ちも発生した。
周囲が暗い午前4時すぎから参加者は展望台に向かい、容器に盛られた食パン、カンパーニュ、コーヒー、ポタージュスープなどを受け取った。
朝日が見えると朝食の手を止め、歓声を上げて記念撮影。出勤前に参加した大田市大屋町の教員、縄江博紀さん(45)は「イベントには何度も来ているので中断は残念。これだけ大勢の人を三瓶に集めるオンリーワンのコンテンツだと思う」と復活を期待した。
リフトを巡っては、指定管理者のさんべ観光(大田市三瓶町志学)が運行や保守管理に必要な人員の不足を理由に、7月末での運休を市に申し出た。
市観光振興課の下垣英樹課長は、さんべ観光に運行継続を要望していたものの、合意に至らなかったと説明。後継事業者の調整を進め「秋の行楽期には再開が間に合うよう努めたい」と述べた。
(錦織拓郎)