譲渡先が決まった大森の湯=松江市宍道町上来待
譲渡先が決まった大森の湯=松江市宍道町上来待

 2020年11月から休館が続く日帰り温泉施設「大森の湯」(松江市宍道町上来待)について、所有する松江市がビルメンテナンス業のさんびる(松江市乃白町)とさんびるホールディングス(同)でつくる共同事業体に施設を無償譲渡する方針を固めた。4月の正式譲渡後、施設の改修工事に着手し、26年春に運営を再開する見通し。

 施設は01年に旧宍道町が整備し、合併後の05年度から市の外郭団体「きまち湯治村」が運営。20年秋に浴場上部にある屋根の支柱のつなぎ目など6カ所以上に腐食が見つかり、同年11月に休館した。

 利用者は05年度の約14万7600人が19年度は約9万6700人に減少。売り上げの減少を穴埋めするため指定管理料も200万円から1657万円に増えていた。

 市は隣接する飲食施設と合わせて建物の民間譲渡を決め、県内事業者を対象に23年12月、プロポーザル方式で公募。6500万円を上限に施設改修費の一部を負担する補助制度を設けたが、改修費が数千万~数億円に上ることなどから応募がなかった。

 24年11月には施設改修費の補助上限を9500万円に引き上げ、対象を県外の事業者に広げて再公募。2事業者の参加があり、審査委員会の意見を踏まえて上定昭仁市長が決定した。

 市は、温浴施設事業の継続を条件に土地を10年間無償で貸し付ける。2月市議会の議決を経て、正式に契約を結ぶ。

 さんびるの塔村俊介取締役地域戦略室長は「幅広い年齢層に利用してもらえるよう経営を工夫し、引き続き地域に愛される施設にしたい」とし、市観光施設課の松本真一課長は「運営再開が地元の活性化につながるようにしたい」と話した。

(堀尾珠里花)