四十二浦巡り4日目、夜明けとともに目覚めたが、よく眠れなかったのでぼんやりとしていた。なぜなら前夜、うっとうしいカメムシが顔の周りで鬼ごっこをするかのごとくブンブン飛び回ったからだ。その迷惑な侵入者を追い払うのに時間がかかり、なかなか眠りに戻れなかった。しかし、その朝一歩外に出ると、予想に反して私の体には活力がみなぎった。この旅で初めて、空は広く青く、前の日までのどんよりとした雲はなく、風も穏やかな落ち着いた天気だったからだ。

 通りを歩き始めると、中庭に見事な盆栽が並んだすてきな家に...