1995年の阪神淡路大震災から30年となり、天皇と皇后は兵庫県を訪問し、復興に際してさまざまに力を尽くした人をねぎらいました。震災の記憶が次世代に継承されることにもつながりました。

 被災地への訪問が天皇の重要な「公務」であると考える人は多いと思います。しかし、日本国憲法には、地方訪問は天皇の仕事(国事行為)として記載されていません。実は、規定にないものが平成になって増やされてきたのです。今回のコラムでは、被災地訪問の歴史を見ることで、天皇の「公務」のあり方を考えてみます。

 ▽自ら知りたがる天皇

 30年前の1月17日...