出雲市出身の洋画家で市文化功労賞を受賞した故大国章夫さん(1923~2006年)のパステル画展が、同市天神町の今岡美術館で開かれている。欧州の街並みや出雲の風景を生き生きとしたタッチで描いた作品45点に来館者が見入っている。3月16日まで。
フランス・モンマルトルの丘やパリの街角など欧州の建物や風景を、スピード感のある線で大胆に描いた。奥行きのある坂道やくすんだ冬の空など叙情豊かな表現が印象的。厳しい自然だけでなく、「モンマルトルの小公園」といった人々の暮らしも織り交ぜた温かみのある作品もある。
「三瓶冬景色」「斐伊川」といった山陰の風景を描いた作品も展示する。冬の多伎海岸は、鉛色の空が力強い筆遣いと独特の色彩で表現され、鑑賞者に強い印象を与える。
同館の安里純子学芸員は「山陰地方や日本海の風景も描き、感動できる作品が多い。力のある画家の存在を知ってほしい」と呼びかけた。
午前10時から午後5時。入館料は一般・大学生600円、高校生以下無料。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌日の火曜が休館)。(佐藤一司)