市立幼稚園を持つ島根県内6市で給食の提供にばらつきが生じている。山陰中央新報社の調べでは出雲、大田など4市が全ての園で毎日提供する一方、浜田市は週2日、松江市は一部の園にとどまる。新たな設備投資や誤嚥(ごえん)防止の対応などが課題という。保護者からは共働きなどで負担感が増しており、給食や弁当の提供を求める声が上がっている。

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 認可保育園は厚生労働省が定めるガイドラインで給食提供が義務化されており、多くが自園調理している。労働要件を問わずに子どもを預けられる需要がある幼稚園は義務化されていない。

 松江市は市内の園で違いがあり、休園を除く15園のうち佐太、講武、たまゆの3園のみが合併前から給食センターによる提供を受ける。市によると、新たに保育園のように自園調理するには調理室の整備費用がかかるほか、給食センターの提供を受ける場合は、誤嚥防止のために食材を切り刻むなど、小中学生と異なる対応が必要になる難しさがあるという。

 幼稚園のPTA連合会からは、保護者の負担軽減を目的に昼食の提供を求める声が上がるほか、保護者が主体で近隣の弁当屋に配食を依頼する動きもある。

 市は市立幼稚園を8園に再編する2028年度をめどに、大規模な施設整備の必要がない弁当配食の開始を目指す。市こども政策課の池田真樹課長は「保護者の負担軽減は重要。安全な昼食提供に向けた環境整備をめざす」と話した。

 浜田市(1園)は、保護者からの要望を受けて週2回、給食センターによる給食と、近隣の保育園からおかずのみの給食を受ける。おかずのみの日はご飯は自宅から持参してもらう。

 毎日給食を提供するには本格的な受け渡し設備の整備が必要で、市子ども・子育て支援課の龍河章江課長は「保育園の協力や衛生的な搬入など最大限の工夫をして週2日まで増やした」とし、保護者による弁当での食育も尊重し、週5日までの増加は現状想定していないとした。

 毎日給食を提供しているのは出雲(25園)、大田(1園)、安来(1園)、雲南(2園)の4市。出雲市は、食育や栄養バランスのとれた食事の提供を目的に実施しており、隣接する保育園から提供を受ける中央幼稚園以外は、給食センターから1食262円で提供を受ける。市保育幼稚園課の園山博之課長は「経済面や食事を作る手間など保護者の負担軽減につながっている」と重要性を語る。

(堀尾珠里花)