2023年3月、大田市の世界遺産・石見銀山遺跡エリアの橋の柵が折れ、観光客が川に転落死した事故で大田署は14日、修繕などの必要な措置を取っていなかったとして、業務上過失致死の疑いで、橋を管理する立場だった当時の大田市土木課長(55)と、同課職員(41)の2人を書類送検した。
事故は23年3月8日に発生。観光していた愛知県北名古屋市の女性=当時(68)=が、大田市が管理する羅漢町橋(大田市大森町)の木製柵に手をかけたところ、折れて銀山川に転落し死亡した。柵は10年3月に設置され、事故前に腐食が確認されていた。
書類送検容疑は、修繕が必要であると把握していながら、早急な修理や立ち入り規制などの安全対策を取らなかった疑い。同署によると、2人ともに容疑の事実関係は認めているという。
職員2人の書類送検を受け、市人事課の宮根仁課長は「検察の判断を待つ段階のためコメントは差し控えたい」と話した。一方、市は遺族に謝罪し、昨年3月に賠償金約3360万円を支払うことで和解に合意した。
市は事故後、市内全域で修繕が必要な道路や公園、施設などの総点検を実施。道路や学校で修繕が必要なのは270カ所に上った。このうち石見銀山遺跡の公開坑道・龍源寺間歩に向かう遊歩道や市道など66カ所を緊急で修繕した。(勝部浩文)













