世界遺産石見銀山遺跡の中心部・大田市大森町内の橋で発生した観光客女性の転落死亡事故で、衝撃が広がっている。女性がもたれたもろい木製防護柵が折れ転落したからだ。柵は約2年前に腐食が確認され2023年度に改修予定だったとはいえ、この間を「放置」とみる向きもある。行政の対応の検証が避けられない。 (大田支局・曽田元気)

 「住民や観光客がよく通る。ずっと危ないと思っていた」。町内の女性(68)は9日、市の対応が遅きに失したと批判した。

 事故は8日午後、愛知県から観光で訪れた女性(68)が、石造のアーチ橋として知られる羅漢町橋の欄干とほぼ直角に設けられた木製の防護柵にもたれたところ、柵が折れ、橋が架かる銀山川に転落した。

 市は柵付近にコーンを置き、柱と柵にロープをくくり付け注意喚起していたが、大田署は業務上過失致死の成立の可否を含め、捜査を進める。

▼優先順位付け対処

 柵は10年に市が設置。江戸の町並みを伝える現場周辺は国の重要伝統的建造物群保存地区で、...