【短歌】安部 歌子選

雨音の激しくなりぬ秋の夕高速船は霧の中から         隠岐の島 永海 千春

  【評】深い霧の中から島民の生活を支える高速船が港に姿を現したのだ。幻想的でも あり、作者の安堵(あんど)の思いも伝わってくる。結句「霧の中から」の言いさしの表現も効果 的である。

「そぉだども、朝晩さぶんなったがぁ」「はやことコタツ出さなえけんわ」 

                               雲 南 熱田 一俊

  【評】会話のみで詠まれた一首。里なまりの調べにも無理がなく、...