大社高校の甲子園ベスト8で盛り上がった島根の野球界。今年はどこが主役になるのだろうか。球春到来に合わせ、山陰中央新報デジタルでは長年、放送局の報道記者を務めた野球フリークによるコラム「球縁(きゅうえん)」をスタートする。第1回は33年ぶり2度目の選抜出場を果たし、18日の初戦に挑む米子松蔭にまつわるエピソードを紹介する。

 「よく選抜の切符を手にしたなって思います。中国大会を勝ち抜くのは簡単ではないですから」。1992年、米子松蔭の前身となる米子商が第64回選抜高校野球に初出場したときの主将だった木下洋一は、穏やかな表情を浮かべ、当時を振り返った。
 

■辞任意向の監督に
「甲子園目指します」

 1991年の夏の鳥取大会後、木下は部員による投票で主将に選出された。しかし、朝山佳寿彦監督が練習に出てこなくなったという。朝山が3年計画で鍛え上げた旧チームは、秋と春の県大会を連覇。当時、2年生でただ一人レギュラー(遊撃手)だった木下も甲子園出場を信じて疑わなかった。

 「...