
―団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」では介護需要の急増と介護職の人手不足が深刻化すると指摘されています。
近年の物価高騰に伴う運営コスト増加と、国が2024年度に訪問介護の基本報酬を引き下げたことが響き、24年の全国の介護事業者倒産数は調査開始以降、最多でした。県内でも小規模事業者を中心に廃業・休止が増えています。経営環境の改善が課題ですが、介護保険制度による人員配置の規定や介護報酬の上限などの要因もあり、企業努力による増収には限界があります。基本報酬が引き下げられると収入が減少し、職員の賃金を上げるのが厳しくなりますが、人材確保の面でも賃上げは不可欠です。さらなる自助努力とともに、業界団体で国や県、自治体へ訴えを続けなければいけません。
―人手不足への取り組みは。
一昨年から特定技能人材としてベトナム人労働者の受け入れを始めました。当初の6人から現在は15人に増え、懸命に働く姿が一緒に働く職員の刺激となり、人手不足対策だけでなく、サービスの質向上につながっています。シニア人材活用にも力を入れています。23年度には島根県の「しまね福祉・介護人材育成宣言事業所」の認定を受けました。行政と連携して、人材確保と育成に注力し、一人一人が生き生きと働ける環境づくりを推進します。

―力を入れたい取り組みを教えてください。
必要とする人が必要な介護支援を受けられる体制を維持することが何よりの地域貢献だと考えます。需要が高い認知症専門施設は現在、グループホーム3カ所、認知症デイサービス1カ所を整備し、引き続き拡充に努めます。ケアハウスやグループホームデイサービスなど9施設を運営する当法人は、県内では比較的規模が大きく、廃業する事業者の業務を引き継ぐケースが増えています。介護業界は、「2025年問題」に直面する年ですが、地域の介護サービスが滞らないよう、課題の人手不足とサービス維持に立ち向かっていきます。


山陰で介護事業を行っています。
進学や就職で一度山陰から離れても、「地元に貢献しよう」という志を持ち、最終的にUターンで山陰の衰退に歯止めをかけてもらえると、この地域で事業をしている者として有り難く思います。
山陰で介護事業を通し地域貢献したいという気持ちを持って働いてくださる方々を求めています。
杉原 有(すぎはら たもつ)=島根県松江市出身(60歳)
20代半ばに都市部からUターン、医療法人や社会福祉法人や企業の運営を行う傍ら青年会議所等の地域団体の地域貢献活動に関わる。2008年から現職。
職場や支援団体、個人で地域貢献活動に積極的に取り組んでいます。
若い頃から大型二輪や車などが大好きで、最近は整備をしたり、近場を走らせたりする程度でなかなか遠出はできていません。
食べ歩きや毎日の料理・家事なども趣味で、イクメンのはしりだと自負しています。
若い方との交流もとても大切にしています。
