―路線バスやタクシー業界で運転手不足が続いています。
人手不足が深刻化する「2024年問題」から1年が経過しましたが、状況は改善していません。特に路線バスの運転手は高齢化が進み、若い人材の確保が重要です。高卒で入社した社員がどんな業務を担い、どのような生活を送っているのかを動画や雑誌記事で紹介するなど、高校生へのアプローチに注力しています。ただ、企業努力だけでは立ちゆかない状況にあることも実感しており、技術が確立されつつある自動運転の導入や実証実験の開始を行政側に働きかけていきます。収益性にとらわれず、公共交通を担う企業として地域の足を守る手法を考えます。

―JR松江駅前の一畑百貨店が閉店してから1年2カ月が経過しました。跡地の利活用に向けた交渉状況はどうですか。
建物は完成から50年近くが経過していることから、第三者に貸すというよりは基本的に取り壊し、土地を売却する方向で検討しています。言うまでもなく、松江駅近くの一等地で地域のにぎわいの拠点となるべき場所です。大手デベロッパーと交渉していますが、現時点で売却先のめどは立っていません。松江商工会議所や松江市などが将来的な駅前周辺のデザイン案を議論しており、弊社としても逐一報告を受けています。今後、百貨店跡地に求められる機能が明確になれば、売却先にも意向として伝え、一帯のにぎわい創出につなげたいと考えています。

 

―アジア圏を中心に海外交流にも力を入れています。
台湾に事務所を設置し、今年で9年目を迎えました。現地の鉄道会社とは連携協定を締結し、25年度はお互いの車両デザインのラッピングを施した電車を走らせるなどの企画を予定しています。3月には出雲空港とベトナム・ハノイを結ぶ1往復のチャーター便が運行されており、ツアー造成にもさらに力を入れたいと考えています。たくさんの人が一畑電車に乗って松江城や出雲大社といった地域の観光資源を巡ることを期待しています。

 

若いうちは無理をしてでも広い世界を見ておくことが大切だと思っています。積極的に海外に足を運び、さまざまな体験をして、知見や学びを広げてほしいです。
当社は島根県東部を拠点とした交通と観光の2本柱で地域を盛り上げようと日々取り組んでいます。
ぜひとも、学生時代に得た貴重な経験を島根に還元してください!

足達明彦=鳥取県出身(64歳) 2019年6月に現職に就任。
とにかく旅行が好きで、基本的に家にはおりません。
若い時から暇さえあれば行ったことのない場所に足を運びました。海外ではアジア圏を中心にコロナ禍前は年2、3回旅行するのが恒例で、国内では岩手、福井両県を除く45都道府県を訪れました。近々、全都道府県を制覇したいと考えています。