政府は6日、新型コロナウイルスワクチンについて、2回目の接種を終えた人に対し2022年に3回目の接種をする検討を始めた。時間の経過に伴いワクチンの効果が低下する可能性が指摘されることや、感染力が強い変異株への対応を念頭に置く。既にメーカーとの間で来年分を確保する契約などを進めており、感染状況や諸外国の動向を見ながら判断する。
米バイオテクノロジー企業モデルナは5日、デルタ株の流行を踏まえ2回接種完了から6~12カ月後に3回目接種が必要となる可能性が高いとの見解を明らかにした。抗体量が徐々に減少することなどが理由。米ファイザーも7月末、3回目が必要と発表している。
政府は7月、モデルナ製ワクチンについて、22年初頭から5千万回分の追加供給を受ける契約を同社などと締結した。米バイオテクノロジー企業ノババックスのワクチンについても同年初頭から1億5千万回分の供給を受けることを前提に武田薬品工業との間で協議を進めており、計2億回分の確保を目指している。ファイザー製については明らかになっていない。
ただ追加接種を巡っては世界各国で判断が分かれる。政府は、海外の臨床試験のデータなどを収集し、追加接種の必要性や、2回接種したワクチンと異なる製品を3回目に使うことの是非などを巡り検討を進める。国内で追加接種を行う場合、3回目接種に関する薬事承認の一部変更手続きが必要。承認されれば、予防接種法上の取り扱いについて、厚生労働省の専門分科会で議論するとみられる。
モデルナが5日に発表した治験結果によると、2回接種完了から6カ月の間、発症を防ぐ有効性は93・2%と高い水準が保たれた。ロイター通信によると、デルタ株流行前データという。
3回目接種の治験も従来ワクチンやデルタ株向けなど複数タイプで進めており、いずれもウイルスに対抗する抗体の量の上昇がみられたと発表した。
3回目など追加接種について、米疾病対策センター(CDC)のワレンスキ所長は同日、米CNNテレビで「食品医薬品局(FDA)が9月に方針を示す」と説明した。