―印刷の取り扱いで伸びている分野を教えてください。
紙の包材パッケージです。特に食品ですね。特産品や土産物のインバウンド消費が盛り上がり、この先まだまだ伸びるでしょう。中海圏域は全国有数の菓子処(どころ)であり、誘客地としても有望な市場です。2024年4月に米子支店を開設した狙いもそこにあります。

―包材パッケージはデジタル印刷の強みを発揮できます。
デジタル印刷は小ロットで短納期の対応ができるため、キャンペーン商品やテストマーケティングでのパッケージ制作に適しています。当社はここ数年、大型投資してデジタル印刷の設備をそろえてきました。箔とニスを同時に出力できるデジタル加飾機もあり、他にない付加価値を提案できます。営業戦略の大きな武器になっています。

―組織づくりや人づくりを重視しています。
経営情報を社内で共有し、風通しを良くして社員の意見を吸い上げるようにしています。異業種の経験者やUIターン者が多く在籍し、30代中盤からの女性社員の活躍は、とても頼もしく感じています。活躍の場をさらに広げられるよう後押ししていきたいと考えています。


―島根県立大の学生など若者世代と交流しています。
浜田市の「まちなか交流プラザ」で、学生向けに印刷の仕事に触れてもらう講座を開催してきました。会社見学も積極的に受け入れています。採用のためというよりは、印刷業のイメージを少しでも変えてもらいたいとの思いからです。形を変えながら、これからも交流を続けていきたいですね。


―今後の事業展望は。
キーワードは協業ネットワークです。全国に広がる同業者や資材メーカーとの連携を深めます。後継者がいないといった後ろ向きな理由ではなく、互いの強みを生かす成長戦略としての協業を、資本提携を含めて考えています。中海圏域で3年以内の実現を目指し、一歩を踏み出します。

20代は目標を持つ必要はありません。迷わず進め。目標が見えなくて当たり前、迷って当たり前。 転職もあり、一つのことに専念することもあり。30代からの豊かな人生設計を目標にして、20代をどうあるべきかを考え、何でも挑戦してください。

柏村英男=島根県浜田市出身(62歳)副社長を経て2001年から現職。 アクアリウムで熱帯魚や外飼いで金魚(らんちゅう)を育てています。環境の変化に弱いので、管理は加減が大切です。旅行も好きで、九州に魅力を感じます。キリシタンの里長崎、平戸、五島、天草や、特攻基地が置かれた鹿児島の知覧などに行くと、日本国民として何が本質なのかという境地になり、自分自身の救いになります。