―松江の夏の風物詩・松江水郷祭の規模が年々拡大し、演出も広がっています。
今年はより多くの方に楽しんでいただけるようにお安い席を増やし、平均単価を下げながら観客の規模を拡大しようと考えています。ドローンショーなどの演出もさらに工夫を凝らす計画です。一層パワーアップした水郷祭を楽しみにしていただきたいと思います。

―中海・宍道湖8の字ルートなど、インフラ整備の推進に向けた動きが加速しています。
8の字ルートは、商工会議所連合会として一丁目一番地の事業に位置付けています。同ルートの経済効果は道路建設だけで350億円、流通コストの改善などを踏まえると計850億円になります。こうしたエビデンスを基に国に要望をしており、理解も深まったと考えています。

―具体的にはどんな効果が考えられますか。
地元の農産品や水産品、小売りの商品などの域内物流コストが削減されるほか、域内観光の移動時間が減り、より多くの観光資源に触れてもらえる機会が増えます。例えば松江市北部の島根半島には、美しい景観やレジャースポットが多くあります。美保神社や老舗旅館が連なる美保関も魅力的ですが、中心市街地から約1時間がかかる交通アクセス面がネックとなっています。これらの課題が解決されるよう、できる限り早く実現を目指します。

―物価高や賃上げなどで中小企業を取り巻く環境は厳しくなっています。
難局は変化のきっかけでもあります。時代に背中を押されていると考え、それぞれの課題に丁寧に対応していくことが大切です。賃上げでは、社の利益を削って賃上げするだけではなく、未来志向で新たなビジネスモデルを構築する必要があります。第2二創業や既存事業の磨き上げのほか、事業承継もスピード感を早める必要があります。各事業者の経営改善が進められるよう、県商工会議所連合会として働きかけ、指導、伴走をしていきます。

 

島根が元気であるためには、地元企業が元気であることが不可欠です。可能性に満ち溢れた若い皆さんにはどんどん挑戦してもらい、一緒になって活気あふれる島根を築き上げていきましょう。

田部長右衛門=雲南市吉田町出身。 
2019年に島根県商工会議所連合会会頭(松江商工会議所会頭)に就任。