短歌 安部 歌子選
我が家には盗られる物はないけどと言いつつ妻は鍵を掛けたり 江 津 三浦 秀和
【評】子育てを終えた夫婦二人の暮らしであろう。さりげない妻の言葉に、長い人生を共にしてきた夫婦の穏やかな暮らしが見えてくる。さまざまなことを思わせる一首である。
断捨離と広げてみてもどれ一つ過去を断ち切る糸見つからず 益 田 堀 君子
【評】断捨離に向かいながら捨てられずにいる作者。他の人には不要としか思えないものでも本人にとっては宝物。思い出を捨てるという事は、今までの人生を断ち切ること。下句に作者の思いが凝縮された。
鰐淵...