冷泉(れいぜい)家で「歌会始」が開かれた。題は「春風」。独特の節回しで読まれた7首の最後は、現当主冷泉為人さんの歌だ。

 〈花を待つ鴨の川辺の若柳の糸をゆらして過ぐる春風〉

 この披講には次の当主となる野村渚さんが、歌会始では初めて差配役「読師」の役割を果たした。次の代につなぐ歌会ともなった。

 冷泉家は京都市上京区、御所の北にある。藤原俊成、定家親子を祖先に持ち、新古今風の和歌を伝え育んできた。彼らが活躍した時代も含め約800年を振り返ると、京都から離れることもいとわず、武家にも近づきながら伝統を守り抜いた姿が浮かぶ。

 2人は昨年のNHK大河ドラマ「光る君...