コメ価格の高騰が生活困窮者支援に影響を与えている。小中学生がいる困窮世帯に食品を無償提供する「フードバンク」に取り組む松江市内の団体は、JAなどからの寄付で入手していたコメが高騰と品薄で手に入らなくなった。学校給食がなくなる夏休み期間の支援に必要となる10トンを確保するめどが立たず、対応に苦慮している。
活動に取り組むのは、NPO法人フードバンクしまねあったか元気便(松江市西津田3丁目)。同法人は2018年度に活動を始め、長期休暇で学校給食がない7、8、12、3月の計4回、コメやレトルト食品などの食品を松江市内の困窮世帯に届けてきた。24年度は延べ2231世帯に配った。
これまで提供するコメはJAしまねなど団体や個人からの寄付でまかなってきた。状況が変わったのは24年度。夏の提供時に在庫と寄付で確保できず、初めて購入した。25年3月は、必要な約4トンに対して0・6トンが不足した。複数の小売店から品薄を理由に大量購入を断られたものの、なんとか買うことができたという。24年度は購入に寄付金約100万円を充てた。
25年度は延べ約2520世帯に届ける見込みで、一度の提供に約5トンが必要になる。夏休みの7、8月に届ける計10トンのうち、現物での寄付や政府の備蓄米配布などを集めても、5月16日現在で確保できたのは3トンにとどまっているという。量を確保できなければ、パスタなど主食の割合を増やしての対応を検討している。
大木理之事務局長は「あらゆる手を尽くし、意地でも準備を整えたい。こんな状況だからこそ、食べ盛りの子供たちにひもじい思いをさせてはいけない。地域全体に問われていることだ」と強調する。
同法人はコメの寄付を呼びかけている。問い合わせは電話0852(67)7350。
新型コロナ禍に加え、ウクライナ戦争以降の物価高で生活困窮層は増加しており、県の調査では「生活するのが困難」と考えている子育て世帯が、19年度の32・4%から24年度は42・6%に増加している。 (新藤正春)