結核は紀元前から周期的に人類を苦しめ続けてきた。産業革命を経て、19世紀に「世界の工場」となった英国でもこの感染症は爆発的に流行した。

 1872年生まれの画家オーブリー・ビアズリーも子供時代に罹患(りかん)した。治療薬のない時代である。彼は常に自分の死を意識せざるを得なかったであろう。

 東京・丸の内の三菱一号館美術館で開催された「異端の奇才 ビアズリー展」は、25歳という短すぎる一...