民泊住宅数の推移
民泊住宅数の推移

 一般住宅に旅行客を泊める民泊が減り続けている。観光庁によると、住宅宿泊事業法に基づく届け出がある住宅数は2020年4月の2万1385戸をピークに減少傾向へ転じ、7月12日時点では1万8578戸に落ち込んだ。うち島根は48戸、鳥取は19戸。東京五輪・パラリンピックで海外から訪れる外国人客の利用を見込んでいたが、新型コロナウイルスの影響で訪日客の姿は消えた。20年度の延べ宿泊者は114万2973人で、19年度から77%の減少だった。

 民泊は18年施行の住宅宿泊事業法でルールを定めて解禁された。コロナ禍以前は東京や大阪など大都市部を中心として五輪期間中に宿泊施設が不足すると懸念されており、民泊住宅は毎月数百戸ペースで増えていた。

 20年9~10月に廃業を届けた事業者への抽出調査(回答は289件)では、理由について49%が「収益が見込めないため」と回答した。主な利用客だった外国人旅行者がいなくなり、需要回復の兆しは見えないままだ。

 国の観光支援事業「Go To トラベル」は民泊も対象となるが、新型コロナ感染再拡大に伴い昨年12月28日から停止中。自治体が独自に実施している旅行割引では、対象をホテルや旅館に限るケースもあり、民泊事業者からは「支援が不十分」との声も上がる。

 苦境が続く民泊事業だが、ホテルや旅館よりも低価格で長期滞在でき、全国で増え続ける空き家、空き部屋の活用につながるなど利点もある。

 政府は本年度、利用状況や管理体制などの実態を調査し、コロナ禍後の観光客回復を見据えて民泊制度の見直しを検討する方針。現在は最大で年間180日としている営業制限の是非などもテーマとなりそうだ。