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江戸時代の松江藩主・松平家の菩提(ぼだい)寺として知られる月照寺(松江市外中原町)で15日、石灯籠に火をともす万灯会の送り火があった。参拝客は幻想的な光に包まれた境内を散策し、厳かな雰囲気を堪能した。
送り火は午後4時ごろに墓近くにある500基の石灯籠のほか、300個のろうそくが参道沿いにともされ、暗闇にゆらめいた。
参拝客は、荘厳な雰囲気を楽しみながら、松平家の墓の前でゆっくりと手を合わせ、安寧を願った。毎年訪れているという松江市浜乃木4丁目の会社員、石橋弘治さん(63)は「荘厳なここだけの雰囲気を味わいに来た」と話した。 (古瀬弘治)
出雲市の中心市街地を流れる高瀬川で15日夜、恒例の灯籠流しがあり、市民や帰省者が見守る中、コロナ収束などの願いを書いた約300個の灯籠が静かに川面を照らした。
今市町中央区の住民有志が、伝統行事を後世に伝えようと、協議会をつくり毎年実施。43回目の今年は3地区が参加した。
日が落ちると、川沿いの住民や親子連れが色とりどりの灯籠を手に集まった。
灯籠には、先祖の供養だけでなく「世界平和」「コロナの早期収束を」などさまざまな願いが書かれ、3カ所で川に浮かべると、市民がゆっくりと流れる灯火に静かに手を合わせた。
川岸にはちょうちんを連ねた竿灯(かんとう)も点灯され、中央区連合町内会の佐藤誠一会長(76)は「故人をしのぶとともに、町内の人が顔を合わせる貴重な機会としてこれからも続けたい」と話した。(三原教史)
島根県西ノ島町浦郷、美田両地区で16日、送り盆の伝統行事「シャーラ(精霊)船送り」があった。色鮮やかな盆旗をはためかせながら先祖の霊を乗せた舟が沖に繰り出される様子を、住民たちが見守った。
木材や竹、稲わらで船首が突き出た長さ10メートル前後の舟を集落挙げて造る習わしで、浦郷地区では住民が20日がかりで製作。朝から漁船のクレーンを使って舟を海に降ろし「南無阿弥陀仏」と書かれた白や赤や緑色の盆旗を飾った高さ11メートルの帆柱を2本立てた。
御詠歌が響く中、子どもたちを乗せた舟が漁船にえい航されて浦郷漁港を離岸。サワサワと音を立てながら隠岐島前の内海にすべるように進み、住民が静かに手を合わせた。伴走する船からは見物客が盛んにカメラのシャッターを切った。
作業に加わった西ノ島中学校3年の清水麗さん(15)は「地域の人と先祖を送り出す雰囲気を体験できてよかった」と話した。
(森山郷雄)