故人への思いをつづった「天国への手紙」のたき上げが15日、古事記で描かれる「あの世」(黄泉(よみ)の国)と「この世」の境とされる黄泉比良坂(よもつひらさか)(松江市東出雲町揖屋)であった。約8500通が丁寧に炎にくべられ、参列者が静かに祈りをささげた。
手紙の受け付けとたき上げは今年で9回目。初回に千通程度だった手紙は、ドキュメンタリー番組で取り上げられたことなどから、昨年は1万2500通が寄せられた。
たき上げに先立ち、本人の了承を得た4通の手紙が代読された。亡き妻に宛てた男性は「来年迎える結婚50周年を一緒に迎えたかった」と悔やみ、「わがままな俺についてきてくれてありがとう」と感謝の思いを記した。
参加者は手紙を少しずつ炎に投げ入れ、空高く上っていく白煙に手を合わせて見守った。広島市から訪れた男性(79)は、戦争で父を亡くし、生まれる前に別れを経験した。「一度でもいいから会ってみたかった」と目を潤ませながらも「父へ伝えたかった思いを届けることができた」と話した。
手紙は東出雲ライオンズクラブなど地元団体でつくる実行委員会(10団体)が受け付けている。
(原暁)












